憂きまど

タイトルは「憂き事のまどろむ程は忘られて覚むれば夢の心地こそすれ」より。某大学国文学修士の人が趣味丸出しでおくる、アニメや小説の感想を中心になんでも。超気まぐれ更新。読んだ本はこちら→https://bookmeter.com/users/337037 Twitterは→@konamijin

11eyes10周年によせて~思い出、楽曲を中心に~

 Twitterを何気なく見ていたら、『11eyes -罪と罰と贖いの少女-』が本日2018年4月25日で、発売から10周年を迎えたというツイートを見かけた。このシリーズの主題歌を担当する彩音さんのリツイートによるものだ。発売元も破産したということで、だんだんと私の昔の思い出も過去のものになっていくのだなと感じる。

 しかしながら、私がこのゲームをプレイしたのは発売から数年経った2010年頃だったと記憶している。今回も先に断っておくが、これはPCのアダルトゲームである。先述の彩音さんは、同じく私が好きな『ひぐらしのなく頃に』のゲームシリーズでもいくつか曲を歌っていたが、そこから彼女のファンになった私は、こっちのゲームも面白そうなのでやってみよう、と思ったわけである。

 その主題歌は、当時の美少女ゲームアワード(現在は萌えゲーアワード)の主題歌賞を受賞した『Lunatic Tears...』。作詞も彩音さんが担当しており、「赤き夜」や「黒き月」など、作品内容を反映したワードが盛り込まれている。OPは大いにネタバレを含んでしまっている、そしてなぜかサビがカットされ、曲の一番最後まで飛んでしまっている。なぜだろう。私がここで四の五の言うよりも、まずはこの曲を聴いていただきたいものである。

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 この作品のストーリーについては、私が説明するよりも、公式サイトのイントロダクションを読んでいただいた方が分かりやすいだろう。この記事でも、なるべくネタバレはしないでいきたい(とは言ってもネタバレせざるを得ない点はあるのだが)。

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11eyes CrossOver

 

 簡単に言えば、少年・皐月駆と幼馴染の少女・水奈瀬ゆかが、ある日突然「赤い夜」という世界に引き込まれるというバトルものだ。元々はアダルトゲームであるため、登場人物はみんな18歳という設定である。誰が何と言おうとそうなのである。その「赤い夜」の世界から生還するために、同じく赤い夜に巻き込まれた仲間たちと共に戦うというストーリーだ。赤い夜は、元の世界に戻る、そして前触れもなくまた突然引き込まれるという状態を繰り返す。文字通り世界が赤く染まり、異形の生物が闊歩したりする。この時、大きな音と共に画面が割れるような演出が入るのでビビる。ホーム画面も、作品内の展開に合わせて普通の状態から赤い夜状態に変わったりする。主人公の名前が「駆」であるため、ヒロインたちも「駆くん」と呼ぶ。そのため、名前が「かける」のユーザーは得をする、より楽しめると言える。合言葉は「友と明日のために」。駆は眼帯をしており、「アイオンの目」という特殊能力を持っている。「俺の目がうずくっ…」というヤツだと思ってもらえればいい。この『11eyes』というタイトルも、メインキャラクターが6人であり、駆が目を隠しているため目の数が11となるという点からきているのだろう。そして敵は七つの大罪を冠した名を持つ「黒騎士」。ラテン語読みでスペルビアやインウィディアなど。ちなみに『Lunatic Tears...』のイントロはラテン語読み、後述する『Arrival of Tears』のイントロは英語読みで七つの大罪を読み上げているものである。更に、水晶に閉じ込められた謎の少女・リゼットと、駆の夢に現れるヴェラードという騎士の男は何者なのか…という具合だ。

 おわかりだろうか、この作品、中二病である。私がそういった部分を意図的に抜き出して印象操作をしているのではなく、実際そういった意見が多いのだ。メインキャラクターである草壁美鈴は陰陽師であり、草壁五宝と呼ばれる剣(童子切とか小烏丸とか)を呼び出して武器にして戦ったり、そういった要素は随所に見られる。

 当時、私はこのゲームを家に帰ってから夜に少しずつ進めていった。基本的にシナリオを読んでいく方式で、要所で選択肢が出るという程度だ。この選択肢、どのヒロインのルートに入るかという点にも影響してくるが、「赤い夜」下での選択肢は、間違った方を選んでしまうと即死、ゲームオーバーとなる。これで私は一度、間違った選択肢を選んだ後にセーブしてしまい、最初からやり直す(スキップ機能を使えばいいのだが)ことになった経験がある。中二ではあるが、ボリュームのあるシナリオで面白かった。一応アダルトゲームであるため、えっちなシーンもある。私はそちらを目当てで購入したわけではないが、ストーリーの進行上、一番最初に出てくるえっちなシーンがよくいるセクシーな女教師とのものだったので少しがっかりした記憶がある。

 駆の幼馴染・水奈瀬ゆかの声優は、安玖深音さん。『恋姫無双』の劉備桃香)の声も担当していると言えば、伝わる人が増えるだろうか。このキャラクターは「うゆ」という独特の言葉を発したり、主人公に対してヤンデレ化したりとファンの間では好き嫌いが分かれるキャラクターである。私はこのキャラクターは好きでも嫌いでもないが、安玖深音さんは個人的可愛い声ランキングの最上位である。キャラクターの一番人気は、やはり草壁美鈴であろう。通称「みりん」さん。そして百野栞という小さい子も人気だが、よくそういったえっちなゲームにいそうなビジュアルをしている子だと思う(こんなことを言うと怒られるかもしれないが)。他のヒロインは金髪メガネの広原雪子。今見ると『UQ HOLDER!』の桜雨キリヱに見える。そして大人のお姉さんの雰囲気漂う橘菊理。この人物、話すことができず、駆の亡き姉と見た目が似ているという設定だが、超重要キャラである。そしてもう一人、赤い夜の世界で行動できる男キャラ、田島賢久。好きなタバコはピース。これも18歳以上という設定なので問題ない。

 この作品は後にアニメ化、XboxPSPへの移植が行われた。こちらでは当然えっちなシーンは軒並みカットされているのであるが。移植版では、「虚ろなる境界」という新シナリオも加わっている。アニメ版は原作とは展開が異なっているので、あまり評判はよくない。それぞれの主題歌『Arrival of Tears』と『Endless Tears…』は変わらず彩音さんが担当。「Tears」を曲のタイトルに引き継いでいる。当時、後者の曲をたまたまニコ動の何かのMADで聴いたという友人が「かっこいい」と褒めていてそれで話が盛り上がったのを記憶している。

 彩音さんの楽曲と言えば、挿入歌である『忘却の剣』も印象深い。終盤の超重要な場面(こちらはOPで少しネタバレしているが)で流れる曲。どうしてこの作品はこうまで楽曲が素晴らしいのか。

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 そしてED曲は、全てAsrielが担当。このユニットは2015年に解散している。なぜ解散したのかは未だに分からずじまいであるが、解散ライブに行ったのも今は昔。しかし、ボーカルのKOKOMIさんは「MISLIAR」として現在も活動中。Asrielの曲を手掛けてきた黒瀬圭亮さんは、上木彩矢さんたちと「UROBOROS」を立ち上げたが、現在では活動が止まっており、Twitterも更新がなく何をしているのか不明である。KOKOMIさんは独特な高音を持っており、それが黒瀬さんの曲と合わさることにより、かっこいいゴシックファンタジーな世界を演出する。嵌る人はハマる、そんな音楽だ。11eyes関係であれば、私としてはこの後触れるファンディスク『11eyes-Resona Forma-』のリゼット編のEDである『Judgement』が好きである。何よりイントロがかっこいい。Asrielの最後のアルバム『Asriel』には、『穢れ亡き夢』や『Sequentia』など11eyes関連楽曲が5曲収録されており、大きな比重を占めている。

 余談であるが、このユニットを代表する人気曲の一つに『Moon Light Tears』があるが、Tearsが入っていてもこちらは11eyesシリーズとは無関係。解散ライブで最後に歌われたのもこの曲であった。

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 さて、そのファンディスクというのが『11eyes -Resona Forma-』。発売は2011年。こちらは移植などはされておらず、PC版のみである。前作の続編にあたり、各メインキャラクターたちと結ばれた世界線での後日談や、リゼットとヴェラード、黒騎士の過去などが描かれ、設定の掘り下げがなされている。OPは、彩音さんとAsrielの黒瀬さんの合作による『十字架に捧ぐ七重奏』。このコンビもなかなか相性がいいものである。ちなみに、このOP映像の「愛する人の為ならばこの身も」の部分は、一見女性が男性に対して涙しているだけの普通のシーンだがなかなかにヤバいシーンである。ネタバレは避けるが、どうしても気になる人は矢印以降をドラッグしてみてほしい。見ない方が幸せである。→どうして女性の下半身と男性の顔の上の方が映っていないのか。この時の戦いにより、女性の方(イレーネ)は下半身がなくなり、男性の方(セバスティアヌス)は顎から上が吹き飛んでいるからである。

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 さて、このファンディスクだが、ログインする時間帯によってキャラクターのセリフが変わったり、ホーム画面を好きなキャラに設定できたような記憶がある。ちょっとしたことだが嬉しいシステムだ。ファンディスクゆえに内容(展開)はえっちなものも多いが、その中で異彩を放っているのが黒騎士編とリゼット編だ。後者に関しては、以前の記事で触れているので、そちらを参照していただきたい。

 

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  改めて触れておくと、リゼット編は、実際にあったアルビジョア十字軍をベースにした話である。えっちなシーンと言えばリゼットの水浴び程度で、それ以外にはえっちなシーンは一切ない。このリゼット、Twitterにいる熱心なファンがクリスマスに合わせてペアリングや靴を作ったりしていたという記憶がある。当時はTwitterをやっていなかったが、2ちゃんねるのスレの方にもアップされていたのでそれで知った。凄まじい愛。もうリゼットは貴方の嫁でいいよ。

 そして黒騎士編は、前作の黒騎士はどうして生まれたのかという点を掘り下げたバトルがメインのなかなかに悲惨なシナリオだ。こちらにはえっちなシーンはあるが、やや特殊な性癖の人向けかもしれない。そしてこのシナリオで使われているBGM「厄災の魔女」はラスボス戦のような、壮大なBGMである。魔女と化してしまったリゼット=リーゼロッテが弱体化していない、最強の力を保っていた時代の戦いであるがゆえのラスボス感であろう。ずっと聴いていたいと思わせる力がある。

 余談だが、当時はニコ動が流行っていたということもあり、リーゼロッテのビジュアルと『ローゼンメイデン』の水銀燈のビジュアルが似ていると言われることもあった。

 

11eyes -Resona Forma- BGM 厄災の魔女 - ニコニコ動画

 

 さて、私がこういった作品について話すとつい曲やBGMの方の話を多くしたくなってしまう。それだけ印象に残っているということの証でもあるのだが。BGMと言えば、このストリングスのかっこいい戦闘曲も印象深い。こちらはファンディスクでのアレンジ版。

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 この作品は、私がプレイした最初のアダルトゲームであった。私はアダルトゲームのえっちなシーンにはあまり興味がなく、シナリオの方にこそ興味があった。そもそも、これ以外で私がプレイしたアダルトゲームと言えば『恋姫無双』しかない。いわゆる「泣きゲー」(対照的なのが抜きゲー)などというジャンルがあるそうだが、こういったジャンルが生まれるのも、えっちなCGと声だけではなくシナリオを重視するユーザーが一定数いる、そういった需要があるということの証明であろう。

 勢いに任せて書いてしまったが、10周年を祝うと共に、改めて当時の記憶を思い出した次第である。余談だが、この作品の聖地は横浜や聖蹟桜ヶ丘だという。ネットで検索してみると、いわゆる聖地巡礼をした人のサイトなどがヒットする。